<小児科学の知識>
2007/12/11 日記<小児科学>
小児科学
小児科学(しょうにかがく、英語|英Pediatrics)は、新生児から思春期(だいたい15歳位まで)を対象として診療研究を行う臨床医学の一分野。
歴史
もともと「英語|英Pediatrics(小児科学)」という言葉はギリシャ語の「paidos(少年)」と「iatros(医者)」という言葉に由来する。一般的に知られている範囲では19世紀初頃より小児特有の疾患を診療研究する分野として内科学から発展分離していた経緯を持つ。20世紀初頭には各国で学会も設立され独立した医学領域として確立してきた。現在は外科学の小児外科も発展している。
分野
小児科学は小児の成長発達を基本として、人体すべての領域に関連している。一般には以下の領域が扱われる。
感染症
原因
症状
: 急な発熱で始まり、口内炎、等を呈する。
予後
: 無菌性髄膜炎、等を起こさなければ1週間程度で自然治癒する。
新生児疾患
(参照:新生児学)
原因
: 肺のII型肺胞上皮細胞から分泌される肺表面活性物質が足りない為に、肺胞の表面張力に負けて肺が潰れてしまう。
病態
: 呼吸の呼気終末期に肺が縮んだ際に、肺胞が肺胞の表面張力に負けて潰れてしまう。肺胞が潰れるとその肺胞への血流が減り、表面活性物質の産生が低下し、さらに表面張力が低下するという悪循環に陥る。
症状
検査
機能している肺胞に潰れた肺胞が混在して網状顆粒状陰影(もうじょうかりゅうじょういんえい、reticulogranular)が見られる。これは呼吸窮迫症候群に特徴的な所見。
肺胞が潰れるために気管支のみが浮き彫りになってX線写真#胸部所見|気管支透亮像が見える。
症状
: 生後2〜3週間後に呼吸促迫症候群に似た症状を示す。
先天異常・奇形
奇形症候群とも呼ばれ、身体のいずれかに複数の奇形を一定の傾向をもって持つもの毎に病名が付けられれている。殆どは遺伝子に問題があるため発症すると考えられ、近年遺伝学の進歩で多くの遺伝子が解明した。身体の発生の終了した出生時点ではすでに症状は固定しており、一般的に治療法は少ない。一部の疾患では脳外科・形成外科的な手術にて機能や整容を直すこともある。強い知能・身体の障害のある場合は療育やリハビリテーションの対象となる。特徴的な外見や多くの例に認める知能障害のため社会的差別の対象となりやすいため過去から多くの問題をよんできた。また、ダウン症候群は比較的頻度が多く物語も多く作られてきた。しかし知能に問題のある症候群も多いのは確かではあるがすべてではない。知能に問題がある場合が多いのは神経の発生・分化・代謝に多くの遺伝子がかかわっているためと考えられる。知能への影響が比較的多い為、小児神経科医が臨床では担当することが多い。病名の定まっていないものも実際には沢山あり、定まっているものだけでも4000種類以上ある。臨床上専門医が比較的多く認めるのは200種類程度と考えられる。
分類がはっきりと定まっているわけではないが以下に分けて記載する。; 頭部、顔面の異常を主とする症候群
全前脳胞症、ヌーナン症候群、アペール症候群、ダウン症候群、歌舞伎メーキャップ症候群、眼瞼裂縮小症など; 四肢の異常を主とする症候群
軟骨無形成症、偽性副甲状腺機能低下症など; 過成長を主とする症候群
ソトス症候群、マルファン症候群; 脳・神経・筋・関節の異常を主とする症候群
プラダー・ウイリー症候群、脆弱X症候群など; 神経・皮膚症候群
結節性硬化症、フォン・レックリングハウゼン病(神経線維腫症1型)など。
消化器疾患
主にこの領域は小児外科学とも関係した領域となる。
原因
: 腸内にポリープ等の異変があると、肛門側の腸が蠕動運動をして異変のある腸を飲み込んでしまう。
病態
: 自分と同じ直径の肛門側腸内に押し込められた口側腸には血液が行き届かなくなり、壊死する。
統計
: 回盲部が大腸に引き込まれることが多い。
症状
: 肛門側腸が2〜3時間置きに蠕動を繰り返して無理に口側腸を下行しようとするので、2〜3時間置きに泣く。泣いていない間はぐったりしている。腸が塞がるので排便が止まる。
病態
: 右下腹部にある回盲部が上行結腸に引き込まれるため、本来あるはずの回盲部が右下腹部からなくなり、基本的身体検査で空虚に感じられる。
検査
治療
: 高圧浣腸を行う。
先天性肥厚性幽門狭窄症(せんてんせいひこうせいゆうもんきょうさくしょう)は、胃の出口である幽門の周りの組織が大きくなる病気。組織が大きくなることを肥厚と言う。
病態
: 肥厚した組織によって幽門が狭くなる。狭くなることを狭窄と言う。酸性の胃液を吐くので代謝性アルカローシスになる。
原因
: 多因子遺伝。
症状
: 唾液や食物が狭窄部を通らなくなり、生後数週間ごろから吐き出す。胆嚢から出る胆汁は緑色をしているが、胆嚢は胃よりも肛門側にあり、胃の出口が狭窄している本症では吐物は緑色をしていない。
検査
治療
: 手術療法を行う。手術は、幽門筋切開術を行う。
予後
: 良好である。
ヒルシュスプルング病(ひるしゅすぷるんぐびょう、Hirschsprung病)は、腸の中で蠕動を起こす神経がやられた病気。腸の中で蠕動を起こす神経をアウエルバッハ神経叢と言う。
症状
: 腸が蠕動をしないので食べ物が逆流して、胆汁の混じった緑色の吐物を吐く。胆汁の混じった緑色の吐物を吐く事を胆汁性嘔吐と言う。また頑固な便秘を認める。
先天性食道閉鎖症(せんてんせいしょくどうへいさしょう)は、生まれつき食道が閉じている病気。
症状
: 閉じた食道の口側がしばしば気管と繋がっているので、肺から空気が混じって泡になった吐物を嘔吐する。泡になった吐物を嘔吐する事を泡沫状嘔吐と言う。逆に閉じた食道の肛門側が胃と繋がっているので、胃から胃酸が肺に入って肺炎を起こす。
治療
: 手術療法を行う。
症状
腎泌尿器
先天性心疾患
心臓血管外科学と関係してくる。発生率は約1%、100人に1人の割合と考えて良く意外に多い先天性疾患である。
近年では医療の技術が進み成人を迎える確率が極めて高く小児科学としてだけではなく成人先天性心疾患と言う新しい分野でのサポートも必要であろう。近年、先天性心疾患の症例や、その血行動態の集約されたソフトウエアが、世界の専門病院の医師により作成され、本邦においても知られるようになった。特に佐野シャント術はその内容にそった画期的治療として世界で評価されている。
免疫不全
主に先天性免疫不全について述べる。
アレルギー・膠原病
内分泌疾患
造血器
全ての血球は、骨のなかにある骨髄の中から生まれる。その中の造血幹細胞が、全ての血球のもとである。その造血幹細胞が、分裂し、一部が分化する。巨核細胞になると、その核がでて、血小板に、リンパ芽球は、B細胞へ、胸腺の教育を受けると、T細胞になる。単芽球は、マクロファージ(大食細胞)に、骨髄球は、好中球に、赤芽球は、赤血球になる。その中の、好中球、T細胞、B細胞、マクロファージと、好塩基球、好酸球を白血球という。小児がんでは造血器の悪性腫瘍である白血病が多く見られる。白血病のうち最も多いのは急性リンパ球性白血病(ALL)であり、逆に慢性リンパ球性白血病(CML)はほとんど見られない。
神経・筋疾患(小児神経科(学))
小児科の分科の中でも神経・筋疾患は非常に種類が多く、一般的に県レベルの拠点病院で臨床に知識として必要であろうと言うだけでも数百種類の病気を対象とする。医師に対しより専門的な知識を要求される。そのため比較的早く小児神経科・脳神経小児科と言う科名で独立してきた(鳥取大学(昭和46年)、岡山大学(昭和54年)など)。神経・筋疾患の中での病気分類ははっきりと定まっているわけでは居ないが大きく分けると以下のジャンルに統合される。上記の奇形症候群も臨床では多くの場合が小児神経科医が専門家として対応する。発達障害 精神発達遅滞、広汎性発達障害(Pdd)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、自閉症(自閉性障害)。比較的話題になりやすいアスペルガー症候群(アスペルガー障害)は自閉性障害のなかでも言語発達が良好なもの、また高機能自閉症は精神発達遅滞のない自閉症に対して用いられる。てんかん、発作性疾患 てんかんとしては、中心・側頭部に極波をもつ良性小児てんかん(BECT、BECCT)、後頭部に突発波をもつ良性小児てんかん(CEOP:この中にはパナイオトポロス型、ガストー型に2分類される)、小児欠神てんかん(小発作、アブサンス)、点頭てんかん(ウエスト症候群とほぼ同義)などが比較的高頻度に見られる。それ以上に発熱した乳児に良く認める熱性けいれんはけいれん発作を起こすがてんかんとは異なる。泣きいりひきつけ(憤怒けいれん)もてんかんではない。中枢神経における感染・免疫異常 髄膜炎、脳膿瘍、急性脳炎、急性脳症、急性小脳失調症、ADEM、多発性硬化症、脊髄炎など。比較的話題になるインフルエンザ脳症は急性脳症がインフルエンザ罹患により引き起こされたもの。タミフルの副作用とインフルエンザ脳症は全く異なる。神経皮膚症候群 結節性硬化症、神経線維腫症1型、スタージ・ウェーバー症候群など。先天代謝異常による神経変性疾患 下記にはそれぞれ疾患をたくさん含んでいるが煩雑となるので分類だけ記載する。糖原病、アミノ酸代謝異常、有機酸代謝異常、リソゾーム病、ムコ多糖症、金属代謝異常(ウイルソン病、メンケス病)、核酸代謝異常、ペルオキシゾーム病、ミトコンドリア病、セロイドリポフスチノーシス、脊髄小脳変性症、先天性グリコシル化異常症、大脳白質変性症など。脳血管障害 もやもや病、急性小児片麻痺、動静脈奇形など。
脳腫瘍 星細胞腫、神経節膠腫、PNET、脈絡叢乳頭腫、頭蓋咽頭腫、視床下部過誤腫など。脳性まひ 脳が原因で随意運動の障害が生じる疾患。痙直型脳性まひ、アテトーゼ型脳性まひ、混合型脳性まひ、失調型脳性まひに分けられる。脳性まひ=精神遅滞のような誤解が多いが、随意運動の異常が定義であって知能は定義ではない。アテトーゼ型では大脳基底核に病気の首座があり、新生児期に黄疸が強かったために生じる核黄疸では知能障害のない運動障害の例も多い。筋疾患 筋肉が徐々に破壊されていく筋ジストロフィー、四肢の遠位(前腕、下腿)から侵される遠位型ミオパチー、筋強直症候群(先天性強直性ジストロフィーなど)、生まれつき筋力に問題のある先天性ミオパチーなどがあり、筋疾患のなかには上記の代謝疾患(糖原病)や内分泌異常、ミトコンドリア病もオーバーラップする。また神経が原因で筋に萎縮を起こす脊髄性筋委縮症(SMA)、筋萎縮性側索硬化症、遺伝性運動・感覚ニューロパチーなども分け方によっては含まれる(下記の末梢神経障害に含むことも多い)。比較的話題になるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は名前の通り筋ジストロフィーに分類される。頭痛 片頭痛、緊張型頭痛など。末梢神経障害 脊髄性筋委縮症、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄型多発ニューロパチー、遺伝性運動・感覚ニューロパチーなど。
医療現場の現状
大人の内科学と同様に、子供の病気の場合には、まず最初に受診する診療科目であるが、いわゆる少子高齢化の急速な進行や時間外診療希望者が他の診療科と比べて多いこと、子供を対象とすることから業務に対する負担が大きいなどの理由により、小児科医を志す医師が減っており、一部では社会問題となっている。(参照:医師不足)小児科の中でもさらに専門が分かれており、感染症、血液、免疫、腫瘍、腎臓、内分泌、代謝、遺伝、神経、循環器、新生児などの専門家がいる。また、川崎病、腸重積、細気管支炎など小児特有の疾患は小児科専門医でないと診断や治療ができないことも多く、不足する小児科医に変わって、内科医が診察することもある今日の状況を問題視する声もある。小児科に入院する患者は義務教育を必要とする年齢層も多く、小児がんなど治療期間が長くなる疾患である場合基礎的な教育が不十分になってしまう。そのため、院内に小学校の分室を設けて一時的に転校させ、院内での教育を実施している病院もある。
関連項目
*児童虐待外部リンク
社団法人日本小児科学会
社団法人日本小児科医会
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