<三歳児神話の知識>
2007/10/20 日記<三歳児神話>
三歳児神話
三歳児神話(さんさいじしんわ)とは、乳幼児期は母親の愛情が大切であり、母親が育児に専念しないと子供が寂しい思いをし、将来的にも取り返しのつかない傷を残す場合がある、という考えを「神話」だとする概念を指す林道義著『主婦の復権』226p(講談社)。この意味での「神話」とは、根拠がないのにもかかわらず一般に正しいと思われている事柄を「神話」の不確実性に例えたものである。
概要
元々「三歳児神話」は「子供が0歳なら親も親として0歳。子供に物心つくまで、親子で一緒にゆっくり成長出来たらいいね」、という周囲の愛情あふれる気遣いが起点であった。これらは家庭教育の面で母親が母性発揮して子の庇護を行うという観点に立ってのもので、こういった環境が3歳までの幼児の情緒の発達に重要であると考えられてのことである。スウェーデンでもこうした考え方から、親が子を直接に3歳まで世話が出来るようなシステムが整っている(出典:『頭がいい親の13歳からの子育て』、2002年)。ただこの観点では幼少期の父親の役割は軽視されがちであるし、非行など、子供の問題行動が社会問題視されると、その原因が幼少期の母親の就労にあるとする論調が根強く、またそのようなイメージが社会にあるため、出産した女性の就労継続・再就労を断念させる要因のひとつとなっている。平成10年(1998年)版「厚生白書」が「少なくとも合理的な根拠は認められない」と初めてこの問題に絡む記載をしたが、その結論に至る予備調査も論拠も皆無であったこともあり、厚生労働省はその後の国会答弁で「三歳児神話というのは、明確にそれを肯定する根拠も否定する根拠も見当たらないというのが事実」とし、軌道修正した(出典:2002年7月10日坂口力 国会答弁)。女性の就業を促進する立場からは、日本と海外を対象にしたメタ研究(他者文献の統合)があり、その文献研究においては三歳児神話には否定的に描かれている(外部リンク参照)。
三歳児神話の科学的当否については[http://en.wikipedia.org/wiki/Daycare]も参照。一方、現状のフェミニズムのあり方を批判する林道義(元東京女子大学教授)は、著書『母性の復権』において反証となる研究を複数挙げており、その旨を平成15年04月02日の国会で参考人として証言している。地域によって差があるものの、出産後仕事の復帰を「子供が3歳になったらしたい、それまでは自分の手で育てたい」と望む女性も多いため影響力は大きい。実地調査をすると、むしろ三歳児神話の傍証となるデータ(非行歴等)が出ることが多いため、女性の社会進出促進の観点から不都合なデータを公表していないというのが実情である。ただこの種の調査では「三歳までの家庭環境が原因」なのか「三歳以降でも家庭環境が問題を持っていたのか」や、また子供の非行に関しても「家庭内で保護者の就労で寂しい思いをした」のか「家庭内の他の要因が関係するのか」など単純に比較できない問題を含んでいる。その一方で、三歳児神話が母子家庭・父子家庭や幼少時に親と死別した子への差別や偏見、過度の同情に影響しているという見解もある。例えば「少年期に荒んでいた」・「犯罪を犯した」のは、当人自身の問題というよりも、幼少期に親がいなかった環境に問題があったのだとすることで、当人の責任回避に用いられたりするケースが挙げられよう。
年表
(出典:『育児之栞』)。
「三歳児神話」を構成する3つの要素
大日向雅美による定義は下記のとおりである。
平成10年厚生白書の論拠
平成10年度(1998年)の厚生白書には「三歳児神話には、少なくとも合理的な根拠は認められない」と記載されたが、それは「三歳児神話を否定する客観的データがある」という意味ではなく、以下のとおり「自立した個人の生き方を尊重し、お互いを支え合える家族を作ろう」、という政治的な主張を論拠としている。それゆえ政府が女性を社会に出して労働させる、税収の確保を目的としたプロパガンダ的な教条ではないかと疑問視する声もある。(以下、厚生労働省の公式ホームページより)
:○ 育児についても母親がその大半を担っており、「夫は仕事、妻は家事も育児も仕事も」といった女性が二重、三重に負担を負う状況。
:○ 戦後の高度経済成長期を通じて、居住空間の郊外化、核家族化が進む中で母親が一人で子育てに専念することが一般化。普遍的なものと受け止められがちな「母親は子育てに専念するもの、すべきもの」との社会的規範は、戦後の数十年の間に形成されたに過ぎない。
:○ 子育てにおける「母性」の果たす役割が過度に強調され、絶対視される中で、「母親は子育てに専念するもの、すべきもの」という社会的規範が広く浸透。
:しかし、妊娠・出産・哺乳が母親(女性)に固有の能力であるとしても、例えば、おむつを交換する、ごはんを食べさせる、本を読んで聞かせる、お風呂に入れる、寝かせつけるといった育児の大半は、父親(男性)によっても遂行可能。
:○ 子育てについては専業主婦により高い不安傾向。家に閉じこもって、終日子育てに専念する主婦は、子育てについて周囲の支援も受けられず、孤独感の中で、子供中心の生活を強いられ、自分の時間が持てないなどストレスをためやすいためではないか。
:○ 母親が子育てに重圧やストレスを感じながら子供に接することは、子供の心身の健全発達に好ましくないことはいうまでもなく、児童虐待という事態に至ることもある。母親と子供が過度に密着することの弊害も色々と指摘されるようになってきている。
:母親の育児不安を解消するには、できる限り多くの人が子育てにかかわる中で、母親自身も過度の子供との密着関係を見直すことが必要。
:○ これらのことを踏まえれば、三歳児神話(子供は三歳までは、常時家庭において母親の手で育てないと、子供のその後の成長に悪影響を及ぼす)には、少なくとも合理的な根拠は認められない。
:http://www1.mhlw.go.jp/wp/wp98/wp98p1c2.html
平成10年版厚生白書の概要(【第2章 自立した個人の生き方を尊重し、お互いを支え合える家族】)
注釈
関連文献
関連項目
概念
施設
人物
外部リンク
『母と子』第二 「三歳児の魂」(1909年)国立国会図書館
3歳児神話を検証する日本赤ちゃん学会
情動の科学的解明と教育等への応用に関する検討会について文部科学省*http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/ikuseikon/kondan020517/02shiryou/02shiryou1-3.pdf
保育が子どもの発達に及ぼす影響に関する研究 内閣府政策統括官(共生社会政策担当)HP、メタ分析で三歳児神話を否定
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◆三歳児神話についてピックアップ 母親が就労などの理由で育児に専念しないと、将来子供の発達に悪い影響を残す場合がある。 :しかし、1988年、以下の条件などが完全に整っているケースでは、専業主婦家庭の子供よりも知的発達や社会性、情緒面の発達が優れている例があるという報告(Gottfried 1988)がなされたり、育児ストレスや虐待が問題とされたりする中で、母親の就労と子供の発達との問題が社... |
